人工知能で靴にイノベーションをもたらす企業の紹介

足裏は全体重を支え、地に面していることが多いため、血液やリンパは下へ下へと下がり疲れが溜まりやすい場所である。第二の心臓といわれるほど、私たちの体の働きに関わってくる足。日々履いている靴が足の疲れに影響を及ぼしている部分は非常に大きいものであり、自分の足に合った靴を履くことが体全体の調子、パフォーマンスを上げることは明白である。外反母趾や偏平足など、合わない靴によって足の形が変わってしまったり、または生まれつきそのような足の方は市販の靴では足が痛くなるためそもそも専門店で足に合う靴を選ぶ必要がある。またマラソンのタイムも靴によって変わってくるなど、身体的にもパフォーマンス的にも、靴が私たちに与える影響ははかりしれない。おしゃれや特別な状況の人にとどまらず、自分に合った靴を履くことに世の意識が向くようになってきた。

靴屋に行けばシューフィッターという合う靴を選んでくれるプロがいることも多くなった。しかし今、AIがその役割を担おうとしている。

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靴業界でAIがどのように使われているのか

ネットショッピングが盛んになっても靴は履いて確かめないと買えないと、店舗に足を運んで購入している人が多いのではないだろうか。靴には世界基準のサイズ表示がまだない分野。これだけネットで世界から買い物が出来るようになった今でも国やブランド、メーカーによるサイズ表示の差によって、海外の靴を購入することは難しい。しかし、AIによるデータ管理が主流となれば、世界のどこからでも大量の靴のデータに触れ、自分のサイズに合った靴、好みに合った靴を選ぶことができるようになる。また足底にAIを埋め込んでデータを取り、健康状態を管理することも可能になる。さらにその状態に基づき、温度調整をしてくれる靴まで販売されている。こうした技術がどのように使われているのか、実際の例を見ながら説明していこう。

QUANT-U

デンマークのECCO社によって製作された、AI(人工知能)「QUANT-U」は一度3Dスキャナーにてデータを取れば、足のサイズだけでなく、靴内の温度や湿度、足裏のどこに圧がかかっているかなど、足の環境や歩き方の特徴までとらえて数値化してくれる。そうして数値化された情報を3Dプリンタへと流し、ある着心地にもっとも関わってくる靴の内部のミッドソールと呼ばれる部位を2~3時間で制作してくれるのだ。

FlicFit

FlicFit社が製作した「FlicFit」は、足のサイズを計測するとAI(人工知能)がサイズに合った靴を提案してくれるというシステムだ。こちらも3Dデータを解析するため、平面的なサイズに合わせて立体的な特徴も正確にとらえて、履き心地のよい靴を選び出してくれる。一度データを登録すればわざわざ店舗に行かなくともネット上で自分に合った靴を買うことが可能となるのだ。

OLPHE TRACK

日本の株式会社no new folk studioは全ての靴にAIを搭載し足の動きを精細に記録していく「OLPHE TRACK」を発表した。靴底にAIを組み込んだセンサーモジュールを埋め込むことで、歩く時、走る時の重心の移動の仕方を分析する。そこから見える健康状態、姿勢、日々の運動量などのチェック、ランニングのコーチまでもAIがしてくれるという。こうした機能はいずれ、介護やリハビリなど医療機関にも応用されていくと見られている。

フットデジタイザ

フットデジタイザ」は先ほども挙げたFlicFit社の開発した技術で、女性のパンプスに特化したマッチングシステムだ。靴の3Dデータを取る「シューデジタイザ」という3Dスキャナーと足の3Dデータを取る「フィットデジタイザ」を用いて、インターネットショッピングでは運動靴や革靴よりも一層買うことが難しいパンプスを失敗なく変えるシステムを開発した。パンプスは傾斜があること、そこが平面な靴よりも、地面に面している面積が少ないため安定感が少ないため試着してみなくては買えないと思われる人がほとんどである。パンプスがインターネットでも買い物できることを目標に開発された「フィットデジタイザ」。当面は店頭の販売員をサポートするツールとして用いられる予定で、お客さまへの最終的な判断や調整は販売員がすることになっている。FlicFit社の目標はシューフィッターの経験値を数値化してAIが職人の代わりとなれるところだ。

Stridalyzer

インドのReTiSecse社が開発したAI(人工知能)搭載の靴インソール「Stridalyzer」は足が地面にどうついて、どう離れて行くか細かい動きまで解析し、どこに負担がかかっているがなど表示してくれるそう。負荷の少ない走法やピッチなどコーチングも。こうしたAIの力で、専属のコーチを得たランナーたちが新たな記録を生み出していく日も近いかもしれない。市民ランナーや趣味で走る人達が新しい楽しみと喜びを見出す機能となりそうだ。

Digitsole

フランスのDigitsole社が開発したインソール「Digitsole」は靴のつま先やかかとなどの温度を調節できるもので、スマートフォンと連動して靴内の温度を調整する。このインソールにもAIが搭載されており、消費カロリーや歩き方の特徴などを解析して自分の歩き方の癖や疲労度までを指示してくれる。冬の寒い時期、足先は知らぬ間に冷え切っている。冷えは男女問わず健康を害する大きな要因。靴内の温度を自動で察知して温めてくれるとはなんとも優しい機能。いつでも快適、健康状態の向上につながりそうだ。自動的に快適な状態へと招かれていると自分で体を温めようという意思が欠落していきそうだが、それは学習するAI搭載の靴。運動不足を指摘して体温アップの道をも提示してくれるのかもしれない。

まとめ

インターネットショッピングの何点は試着ができない部分である。ZOZOTOWNが体型を瞬時に採寸できるゾゾスーツを発表したのも記憶に新しい。ネットショッピングの何点を解決してくれる技術が開発され始めている。靴もまた服と同じように履いてみないと買えないものとして店頭で購入する人が多い品物であった。

しかしAI技術を用いた「FlicFit」の開発によって、近い未来には試着なしで自分にぴったりの靴が世界のあらゆるところからいつでも購入できるような未来もすぐそこまできている。また足と靴のマッチングシステムがシューフィッター並みの技術を取得することで、パンプスのような試着をしないと買いにくい靴も失敗せずに購入できる、甲高・外反母趾・左右の足のサイズが違うなど靴をきちんと選んで購入しなければならない人たちへのおすすめも可能になるなど、AI技術は靴業界の販売の形を大きく変えていくだろう。

販売という面のみならず、AIによるデータ解析によってそれぞれの人にフィットするインソールが瞬時につくられたり、AI搭載のインソールによって移動時の重心のかかり方の解析されることにより、走法の指導から健康状態アドバイスまでパーソナルコーチや健康管理をしてくれるかかりつけ医のような働きまで出来てしまうというのだ。靴内の温度を感知して足裏を快適な温かさにしてくれるインソールにおいては、健康は足の裏からだと言われるくらいなので多くの人の心身を温かく健康にしてくれるだろう。

AIの技術が靴業界に参入することはひとつひとつの例を見るだけで、販売形態、製造、健康、運動、多くの分野にまたがって多くの変化をもたらしてくれることがわかる。私たちの生活に新たな局面をもたらしてくれるだろう。

AI(人工知能)と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。・囲碁の世界チャンピオンに勝った・空港の人ごみのなかからテロリストをみつけることができる・人の代わりに単純な事務作業をやってくれる・自動運転車には欠かせない技術こうした便利な使い方は、確かにAIの可...
「だから」AIはマーケティングを変えることができる - NISSEN DIGITAL HUB


<参考>

  1. 足のお悩みに朗報!AI(人工知能)で進化する靴たちがすごい!(エーアイジン)
    https://aizine.ai/ai-shoes0525/
  2. 足が痛いなんて言わせない。AIがぴったりな靴を教えます!(エーアイジン)
    https://aizine.ai/ai-shoes0820/#toc1
  3. あなたの靴に革命を!すべての靴をAI搭載のIoTシューズにする世界初のプラットフォーム(IGNITE)
    https://ignite.jp/2018/01/114985/
  4. サイズがぴったりの靴をAIが提案、靴と足の3D計測スキャナー(週刊アスキー)
    https://weekly.ascii.jp/elem/000/000/416/416775/

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